晴れた日には遠くを眺めて。

今日の東京は黄砂が飛んできているらしい。
今の席は、目の前に東京湾が広がっている。
ビルの陰にはレインボーブリッジ。
地上21階、とても眺めがいい。
黄砂のせいか、それともようやく暖かくなって湿気が多いせいか、
海が少し霞んで見える。
とても東京的な風景。
東京の風景は時に悲しく描かれるし、
また冷たく思える人が一杯いるのかもしれないけど、
東京で生まれ東京で育ち東京が故郷の僕には、
これ以上暖かい風景はない。
新宿歌舞伎町の裏のラブホテル街を、
バカ話をしながら新宿に向かう学校帰りの自分たちがいた。
それがたったの10年ほど前。
僕が知る上っ面な東京は、何も変わっちゃいない。
六本木ヒルズもお台場も、なかった頃。
10年は一昔だと言うけど、
なんだかそれが遠くに感じられない年になったのか。
東京の夜景を、懐かしく思える人って少ないんだろうか。
憧れや無機質な感情ではなく、郷愁を。
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正しい街 / 椎名林檎
あの日飛び出した 此の街と君が正しかったのにね
不愉快な笑みを向け 長い沈黙の後 態度を更に悪くしたら
冷たいアスファルトに額を擦らせて 期待はずれのあたしを攻めた
君が周りを無くした あたしはそれを無視した
さよならを告げた あの日の唇が一年後
どういう気持ちで いまあたしにキスをしてくれたのかな
短い嘘を繋げ 赤いものに替えて 疎外されゆく本音を伏せた
足らない言葉よりも近い距離を好み 理解出来ていた様に思うが
君に涙を教えた あたしはそれも無視した
可愛いひとなら捨てる程いるなんて云うくせに
どうして未だに 君の横には誰一人居ないのかな
何て大それたことを夢見てしまったんだろう
あんな傲慢な類の愛を押し付けたり
都会では冬の匂いも正しくもない
百道浜も君も室見川もない
もう我が儘など 云えないことは分かっているから
明日の空港に 最後でも来てなんてとても云えない
忠告は全て いま罰として現実になった
あの日飛び出した 此の街と君が正しかったのにね
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